女子にもわかる自衛隊

パンストを欲しがる?!自衛官の受けがちな誤解

自衛隊ならではの悲しい誤解

恋愛関係、夫婦関係では、お互いの信頼が欠かせません。
なのに、その信頼が損なわれるようなことがあったら……関係は続けられなくなっちゃいますよね。
「もう、信じられない!こんな人とはお付き合いできない!」「もう、こんな人と結婚生活は続けられない!」と思ってしまいますよね。でも、ちょっと待ってください!あなたが「もう、信じられない!」と思っても、それは「自衛官ならではの誤解」かもしれません。

「違う!誤解なんだ!」
「言い訳なんか聞きたくない!」

と、誤解のまま関係が崩れるなんて、こんな悲しいことはありません。
前回は、デートでうっかりやってしまいがちな「自衛官の特殊な言動」のお話をしました。
今回は、デートに関わらず、「自衛官とお付き合い・結婚していたらこんな誤解が生まれるかも?」というお話です。

発見!彼の家に女性用のコットンが!

例えば。ある日、あなたは陸上自衛官の彼の家に遊びに行きました。
彼の家に着くと、ちょうど彼も帰宅したところで、大きなカバンから訓練で使った迷彩服やシャツなどを出しているところでした。

「訓練お疲れさま。洗濯、手伝おうか?」
「ありがとう。お願いできる?」

迷彩服やシャツを抱えるあなた。……と、床にある物が転がっているのを見つけました。それは、「ふくだけコットン」。

「……なにこれ?なんでこんなのがあなたの家にあるの?誰か女の人が来たの?!」
「違うよ!これは、俺が使うんだよ!」

「なんであなたがクレンジングを使うのよ?!これは女の人がメイクを落とすのに使う物なのよ!!」
「いや、ほんとに俺が使うんだって!!」

「男の人が使うわけないでしょ!!もう、信じられない!!さよなら!!」
「違うんだ!!誤解なんだ~!!」

自衛隊に欠かせない「迷彩」いろいろ

彼の家で、女性しか使わないものを発見したら……「これは女の形跡!!ひょっとして浮気?!」なんて疑ってしまいますよね。
でも、一般的には女性しか使わない「ふくだけコットン」は、陸上自衛官の必需品でもあるんです。というのも、陸上自衛官は訓練で「お化粧」をするんです。
陸上自衛官は、顔に「迷彩ドーラン」というものを塗ります。テレビなんかで、自衛官が緑色や茶色に塗られた顔をしているのを、見たことがある方も多いのではないでしょうか?
自衛官は「迷彩服」という服を着ています。陸上自衛隊の場合は緑を基調とした迷彩柄、海上自衛隊は青を基調とした迷彩柄、航空自衛隊はグレーを基調とした迷彩柄です。これは、「その場に溶け込むため」です。山の中で真っ赤な服を着ていたら、すぐに発見されてしまいますよね。なので、山中で発見されにくいよう、陸上自衛隊では緑を基調とした迷彩柄を採用しています。海上自衛隊の青は海、航空自衛隊のグレーは空港のアスファルトに紛れるためです。

服だけじゃない!顔ももちろん迷彩に

画像出典:陸上自衛隊HP

緑を基調とした迷彩柄の陸上自衛隊。でも、服だけ迷彩で紛れてても、顔で発見されてしまいます。ので、顔も「その場に溶け込むため」に、迷彩柄にします。そこで塗るのが「迷彩ドーラン」。緑色、茶色、黒、黄色のドーランを駆使して、「人の顔」と分からないようにお化粧をします。

しかしこの迷彩ドーラン、石鹸で顔を洗っただけではなかなか落ちません。汗や雨でも落ちにくいように作られたドーランなので、普通の洗顔では落とすのが難しいんです。

そこで陸上自衛官に愛用されているのが、「ふくだけコットン」。洗顔フォームでがんばって落とす人や、クレンジングジェル・クリームを使う人もいますが、お手軽に使えるふくだけコットンは陸上自衛官の必需品となっています。

もし、あなたが陸上自衛官の彼の持ち物にふくだけコットンを発見したら。どうか「なに?女の影?!」と思わず、「必需品なのね」と思ってあげてください。

余談ですが、迷彩ドーランはお肌になかなかの負担をかけます。私も予備自衛官の訓練で迷彩ドーランを塗ることがたまにありますが……その後のお肌を考えると「嫌だーー!!」と毎回思います。でも、訓練だから塗りますけど。

男性はお化粧品に詳しくないので、彼女さんや奥さんが「このコットンは化粧水が入っててお肌に負担が少ないよ」とかアドバイスをしてあげると、自衛官も嬉しいと思います。

そんな……彼が変態?!いえ、違います!

では、次のパターン。ある日、自衛官の彼が「頼みがある」と言ってきました。「なに?」と聞くと……「使用済みのパンストちょうだい」。さあ、こんなことを言われてあなたはドン引きせずにいられるでしょうか。

「なに言ってるの!変態!!」
「いや、そうじゃなくて使うんだよ!」
「何に使うのよ!!もう、信じられない!!さよなら!!」
「違うんだ!!誤解なんだ~!!」

……と悲しいお別れにならないよう、正解発表。パンストの使い道は「靴の手入れ」です。
みなさんは、自衛官がお仕事で履いている靴を見たことがあるでしょうか?もしなければ、ぜひ一度まじまじと見てください。もう、それはそれはピッカピカです。
(山中での行動後なんかだと、泥だらけだったりしますが。とりあえず、朝はみんなピッカピカです)

ピッカピカの奥義 パンストでゴシゴシ!

自衛隊に入隊すると、制服や迷彩服のアイロン掛け、ベッドメイキングの仕方、などなどいろんなことを叩き込まれます。そして、そのひとつに「靴の磨き方」があります。
自衛隊では、靴はピッカピカに磨かなくてはなりません。正直、私も「そこまでピッカピカにしなくてもいいじゃん。フツーにきれいだったらそれでいいじゃん」と思っているんですが、でも自分の顔が映るくらいピッカピカに磨かなくてはならないんです。
なので、みんな自分の靴にクリームを塗って、タオルでゴシゴシ磨きます。が、なかなかピッカピカにはなりません。
そこで登場するのが、パンスト。誰が編み出した裏ワザなのかは分かりませんが、パンストでゴシゴシするとピッカピカになるんです。
……が、残念なことに男性はパンストを持っていません。新品のパンストを使うにはもったいないし……ということで、手に入れる方法は「女性から使用済みをもらう」ことになります。
もし、自衛官の彼や夫から「使用済みのパンストちょうだい」と言われたら、快くあげてください。伝線して使えなくなったパンストはすぐ捨てちゃいますが、取っておいてあげるのも喜ばれると思いますよ。

彼の家に行ったら、決定的な女性用品が!

では、最後にもうひとつ。最初にお話した「ふくだけコットン」のように、もし、彼の家に生理用品があったら……もうこれは完全に「女の影だ!」と疑ってしまいますよね。
​でも、これも一部の自衛官には必需品なんです。使い道は「止血」と「靴の防湿」。
生理用品の吸水性は、女性のみなさんだったらよくご存じだと思います。他の何でも代用できない、とても優れた吸水性ですよね。
なので、ケガをして大量に出血をしてしまったら、タオルやガーゼではなく、吸水性バツグンで清潔な生理用品を使うことがあります。ので、衛生(医療)を担当する自衛官だったら、止血用に生理用品をストックしていたりします。これは自衛官に限らず、他の医療関係者の方からも聞く話です。

疑わず理解の心を。もしできれば協力を!

そしてもうひとつの「靴の防湿」。自衛官が履いている靴は、防水性にとても優れています。水たまりをじゃぶじゃぶ歩いても、靴の中に水が入ってくることはありません。
防水はとっても良いことなんですが、裏返せば「靴の中の湿気の逃げ場がない」なんです。靴の中はとってもムレムレで、夏場は自分の汗で靴下がびっしょりになることもあります。
そこで使うのが、生理用品。靴の中敷きに薄手の生理用品を貼ると……靴の中がとっても快適になるんです。
靴の中がムレムレだったら、マメができて痛い思いをしてしまいます。ムレムレのままだったら、水虫にもなってしまいます。彼や夫にそんな思いさせたくないですよね。
なので、もしみなさんが、自衛官の彼の家で生理用品を見つけたら……「大変なんだなぁ」と思ってあげてください。男性には買いにくいものなので、ひょっとしたら「買って来てくれない?」と頼まれることもあるかもしれません。そんなときは、ぜひ快く協力してあげましょう!

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